長く続くセキ
長引くセキについて、fit増刊号「病院ガイド」に掲載しました。内容の一部を紹介いたします。
最近、急に暑くなったり寒くなったりと気温の不安定な日が続き、風邪を引かれる方も多くなっています。セキは風邪の代表的な症状の一つですが、風邪以外の呼吸器の病気でも多くみられる症状です。
セキは同時に痰が排出される場合とされない場合で、「湿性セキ」と「乾性セキ」に分けられます。またセキの持続期間の長さによっても、3週間以内のものを「急性」、8週間以上のものを「慢性」、4週間以上8週間未満のものを「せんえん(遷延)性」と分類されます。細菌やウイルスなどの感染によって起こる呼吸器感染症にみられるセキは、多くの場合は3週間以内に改善します。ところが近頃は、胸のレントゲン写真などでははっきりとした異常がないにもかかわらず、4週間以上と長く続くセキに悩まされている患者が非常に増えています。長引くセキはとても煩わしいものですが、その原因疾患としては長年の喫煙によって引き起こされる「慢性閉塞性肺疾患」や「気管支喘息」など、呼吸器内科の先生が専門とするような病気が有名ですが、耳鼻咽喉科医が主に診断治療に関わる病気も存在します。ここではその様な病気について、代表的なものをいくつか紹介したいと思います。
・「後鼻漏(コウビロウ)症候群」:後鼻漏とは鼻汁(ハナジル)が鼻の後ろを通過してノドに落ちる状態を言います。落ちた鼻汁がノドを刺激することでセキやノドの違和感を引き起こすこととなります。後鼻漏は場合によっては鼻から挿入する細い内視鏡によって初めて確認されることもあります。鼻汁の理由は、花粉症などのアレルギー性鼻炎であっても慢性副鼻腔炎(蓄膿症)であってもかまいません。そのため治療には、それぞれの病気に対応した鼻汁を抑える薬(抗アレルギー剤、抗生物質など)の投与が中心となります。
・「喉頭アレルギー」:アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支喘息などのアトピー体質を持つ方の中に、ノドにもアレルギー反応を起こす場合があります。ノドがイガイガする、ノドがくすぐったい、などの症状のほかに、やはり長引くセキを訴えます。アレルギーが原因のため喘息患者に用いる気管支拡張剤よりもアレルギー反応を抑える抗ヒスタミン剤やステロイド吸入薬を用いるほうが効果的です。
・「胃食道逆流症」:胃酸などの胃の内容物が食道に逆流し、胸焼け(胸の灼熱感)やゲップなどの症状を示す状態です。ノドの違和感やセキ、声ガレなどの症状をともなうこともあります。胃酸の産生をおさえる薬を服用することが有効です。
また最近では、子供の病気と考えられがちな百日咳やマイコプラズマなどが、実は大人にも多いこともわかってきました。同居する家族が同じように長引くセキに悩まされている場合には、特に疑われるべき病気です。呼吸器の感染症ですので治療は適切な抗生物質の使用が有効となります。
以上にあげた病気のほかにも、長引くセキがある場合には肺がんなどの悪性疾患やピーナッツなどの異物を吸引(気管支異物)している場合なども考えられます。単純に風邪を繰り返しているためだなどと一人合点しないで、耳鼻咽喉科医や呼吸器内科医など専門医に相談することをおすすめします。
[ 更新:2008-07-01 09:35:12 ]